有馬哲夫氏 2/2

 

>  戦後左翼といわれる人たちのなかには、戦前の天皇軍国主義は厳しく批判するが、日本を占領したアメリカについて、まるで「民主主義の旗手」のようにみなす傾向があるが、そこにアメリカが日本占領のために持ち込んだマインドコントロールの影響があることを否定することはできないだろう。  

 

日本人は思考停止の状態にありますからね。声を上げたいときには他人の受け売りをするしかないでしょうね。   

 山本七平は、<ある異常体験者の偏見>の中で、日本人の絶対化について述べています。「日本軍が勝ったとなればこれを絶対化し、ナチスがフランスを制圧したとなればこれを絶対化し、スターリンがベルリンを落としたとなればこれを絶対化し、マッカーサーが日本軍を破ったとなればこれを絶対化し、毛沢東が大陸を制圧したとなればこれを絶対化し、林彪が権力闘争に勝ったとなれば『毛語録』を絶対化し、、、、、、等々々。常に『勝った者、または勝ったと見なされたもの』を絶対化し続けてきた―――と言う点で、まことに一貫しているといえる。」と述べています。

 

>そして、この対米従属構造は現在も続いている。

 

日本人には意思がない。意思は英語においては未来時制の文章内容であるが、日本語の文法には時制というものがないので、日本人には意思がない。

意思のあるところに方法 (仕方) がある。日本人には意思がない。仕方がないので無為無策でいる。優柔不断・意志薄弱に見える。生きる力が不足している。困った時には ‘他力本願・神頼み’ をすることになっている。

' やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かず' 山本五十六 (やまもと いそろく)

 

>  著者自身、原爆投下はソ連の影響力を排除するためだったこと、戦後アメリカは岸信介ら旧体制指導者らを巣鴨プリズンから釈放し、CIAの秘密資金を与えて総理大臣になるのを助けたこと、今憲法九条を一番邪魔だと思っているのはアメリカの政治支配層だということを正しく指摘している。 

 

‘私は絶対に日本人を信用しない。昨日までの攘夷論者が今日は開港論者となり、昨日までの超国家主義者が今日は民主主義者となる。これを信用できるわけがない’ (あるアメリカの国務長官)    

日本人の中には処世術で鍛え上げた芸達者な人が多いですからね。

 

>  同時に、東京裁判のためにアメリカが日本軍の残虐さを意図的に強調したからといって、戦前の日本軍国主義がおこなったアジアへの野蛮な侵略戦争や強制連行などの数々の非道な行為それ自体をなかったことにすることはできない。  

 

そうですね。あったことを無かったことにするのは難しいですね。  

 

>事実は事実として次世代に伝え、対米従属一辺倒でなくアジア諸国との平和と友好を模索することこそ、独立国としての誇りある態度ではないかと思う。 

 

日本人は序列人間ですからね。対米序列を離れることは難しいですね。自分は ‘〇〇組の者でござんす’ としか定義できない。 

我々日本人は ‘考える人’ になる必要があるのではないでしょうか。’我々は何処から来たか。’ ‘我々は何者であるか。’ ‘我々はどこに向かうか。’ などの哲学的命題に答えを出してみるのも良いでしょうね。  

 

>アメリカも日本も、どちらの側からも植民地を奪いとるための戦争だったのであり、それによって幾多の兵士や銃後の国民が犠牲になったことを曖昧にすることはできない。 

 

生きている兵士には犬死を与え、生き残った者たちには塗炭の苦しみを与えることになりましたね。原因を究明する必要がありますね。

英語においては非現実の内容は、時制のある文章により表される。非現実の内容はそれぞれに独立した三世界 (過去・現在・未来) の内容として表される。その内容は世界観と言われている。世界観は、人生の始まりにおいては白紙の状態である。人生経験を積むにしたがって、各人がその内容を埋めて行く。自己のその内容 (非現実) を基準にとって現実の内容を批判すれば、批判精神の持ち主になる。批判精神のない人の文章は、現実の内容の垂れ流しになる。

日本語には時制がない。だから、日本人には世界観がない。そして、日本人には批判精神がない。マスコミも現実の内容をただ垂れ流す。だから、個性がなく有力紙が育たない。本人にも相手にも何を考えているのかわからない。だから、相手からも信頼されない。協力者が得られない。社会に貢献する度合いが限られる。

 

>  (新潮新書、286ページ、定価840円+税)

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>(転載おわり)